力学は物体の運動を論じる物理の一分野で、その中核になるのが運動を解析する数学的手段に言及している運動の第2法則であり、本節では、運動の第2法則を数式で表した運動方程式による物体の運動を解析する手法についての一般論を説明します。
ここで、高校物理における運動方程式による解析は、加速度の表示をaと表し、運動方程式から加速度を算出して、運動方程式が等加速度運動の形になれば、あらかじめ議論していた等加速度運動の考察から得られた速度、位置ベクトルの表式に加速度を代入して運動を解釈したり、単振動であれば、運動方程式が単振動をする形だから、必要な物理量を運動方程式に用いた振動系に特有な物理量を使って算出したりといった形式で実施します。
しかし、本来、力学は物体の運動を論じるということを考えると、加速度、速度は位置ベクトルの時間微分として表す方が最終的に物体の位置ベクトルを時間の関数として表すことの意識づけになるし、従来の高校物理のように、特殊な条件から得られた公式を使って運動を解析するより、一般論を先に述べて、高校物理で登場する運動が具体的な例であることを示した方が理解が進むと考えるため、本編では運動方程式において加速度、速度は位置ベクトルの時間微分で表示することにして運動を解析する手法について説明します。