物体の運動を考えるとき、物体が静止している場合は、当然、力は作用していませんし、また、等速度で運動している場合も等速度にするまで力は働きますが、等速度での運動中は力が作用していないことは理解できるでしょう。しかし、速度が変化する場合は、物体に力が作用して、力が作用した結果、運動の状態が変化することは経験的に納得できると思います。そして、作用する力が0の場合も含めて、物体は力の影響下で運動していて、物体の運動を記述するためには物体の位置を表す物理量と力の関係を規定する数式が必要になることが予想できます。
ここで、速度の時間変化率が加速度であり、位置ベクトルの時間変化率が速度であるため、運動の状態を変化させる作用である力と加速度を関連付ける基礎方程式を見出すことができれば、数学的手段を用いることにより、最終的に物体の位置を表示する位置ベクトルが決定して、物体の運動を確定することができます。
そこで、本節では、物体の運動が確定する条件を考察して、そこに現れる力学理論構築の主要な要素である変位、速度、加速度、力の概念を紹介することにします。